vol.68 敷地と家の関係?

家づくりを始めて、SNSや住宅雑誌を見たり、
モデルハウスや見学会に足を運び、
たくさんの家に触れていると、
実現したい様々な要望が
どんどん積み重なっていくことと思います。

しかし、間取りは要望だけで決まるのではなく、
実際は、その土地の環境に大きく左右されるため、
土地を無視したままで要望を固めていくことは、
決してオススメ出来ることではありません。

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そうしてしまうことによって、
逆に住みにくい家が出来上がってしまう
可能性が高くなってしまうからです。
また、無駄なコストが余分にかかる可能性が
高くなってしまうからです。

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例えば、あなたが、
南全面にリビングダイニングキッチンを配置したい・・
そして、南に大きな窓をつけたい・・
という要望をお持ちで、
その実現が家づくりの絶対条件だと仮定します。

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しかし、すぐ南に家が建っている土地に
家を建てないといけないとしたら?

まず考えられることは、
そもそも日が充分に当たらなくなり、
南にリビングをつくったにも関わらず
家が薄暗くなってしまうということです。

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また、その土地は、
すぐ南に建っている家の裏口や裏面が見えるため、
いつも過ごすリビングの大きな窓から見える景色は、
散乱したゴミや、換気扇や窓から垂れる汚れやコケ、
エアコンの室外機や給湯器といった
生活感に溢れたものばかりになってしまうため、
それを隠すためカーテンを閉めざるを得なくなってしまい、
さらに家の中を薄暗くすることになります。

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では、南に家が建っていない、
あるいは建つことがない土地であれば、
その要望の実現は問題ないのでしょうか?

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この場合、日当たりを阻害するものがないため、
一見、南につくったリビングには、
日光がサンサンと降り注ぐように感じます。

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しかし、リビングが外から丸見えになってしまうとしたら、
それを防ぐために、
カーテンを閉めた状態にせざるを得なくなるし、
おそらくこの先ずっと、
そのカーテンを開けることが出来ないかもしれません・・・

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それゆえ、その条件が絶対だとしたら、
外からリビングが見られないような
土地を選ばないといけないし、
そうなれば、家が密集して
建っていない地域にする必要があります。

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つまり、土地の予算を上げずに
その要望を実現しようと思うと、
住む地域を変更せざるを得ないというわけですね。

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あるいは、それが出来ないのであれば、
希望する地域でより広い土地を購入しつつ、
さらに、敷地の南には視線を遮断するための
塀の工事を施す必要があるかもしれません。

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つまり、土地代と庭代に、
より多くのコストを掛けざるを得なくなってしまう
というわけです。

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✔︎住む地域とコストと住みやすさと

家づくりでは、住む地域も大切だし、予算も大切です。
また、住みやすさも大切なので、
このバランスが取れた家づくりをしなければいけません。

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そして、そのためには、
“間取りは環境に合わせてつくるものである”
という基本原則を守ることが必要不可欠です。

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たとえ南に家が建っていても、
リビングに南からの光をたっぷりと採り込むことは出来るし、
南に建っている家の汚い裏面を
眺めながら暮らす必要もありません。

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また、丸見えという犠牲を払ってまでして、
一番南に大きな窓をつけなくとも、
リビングに南からの光をたっぷりと採り込むことも出来ます。

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そして、どんな土地であったとしても、
全ての部屋を自然の光だけで明るくすることも出来ます。
もちろん、プライバシーもしっかりと確保しながら。

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これらの問題は、
全て土地によって解決出来ることではなく、
全て設計によって解決出来ることです。
環境に合わせて間取りをつくることによって、です!

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なので、土地を決める前に
要望だけを固めてしまわないように、
注意していただければと思います。
あくまで間取りは環境に合わせてつくるものですから♪