vol.58 ただ単に窓をなくしてるわけじゃない?

こちらの写真をご覧ください。
シンプルノートのお家の多くは、
家の正面に窓がありません。

よく見ていただくと、
換気扇のカバー・エアコンの配管・雨樋といった部材なども、
一切正面にありません。

それには、理由があります。
1つ目の理由は、
「明るさを十分に確保するため」です。

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窓の役割は、光と風を家の中に採り込むことです。
しかし、正面に窓をたくさんつくったり、
大きな窓を設けたとしても、
たくさんの光が入ってくるとは限りません。


なぜなら、外から家の中が丸見えになってしまうため、
カーテンをせざるを得なくなってしまい、
家の中が薄暗くなると同時に、
風通しも悪くなってしまうからです。

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ですので、大きな窓は、
基本的には人目が気になりそうな場所ではなく、
カーテンをしなくていい場所につくります。

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そうすることで、最小限の窓の数で、
光を家全体に満遍なく届けられます。

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もちろん、窓のつくり方は、
道路の方向や周辺環境によって異なってくるので、
全部が全部こうだとはいいきれませんが、
共通して言えることは、
光の採り方(窓のつくり方)は敷地に合わせて
変えなければいけない
ということです。

 続いて、2つ目の理由は、
「防犯性を高くするため」です。
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現在建てられているお家の多くは、
窓を見ただけで間取りが分かってしまうこと、
ご存じでしたか?
どこがリビングで、どこがキッチンで、
どこが寝室で、どこが子ども部屋で、
どこが水回りなのか・・全てです。

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間取りが分かってしまうということは、
夜になるとどこに誰が居るのかまでも、
具体的に分かってしまうかもしれない・・
(どの窓から泥棒にはいればいいのか丸わかり…)
ということでもあります。

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ですので、窓を正面につくらないようにする。
つくらざるを得ない場合は、
窓を見ただけで家の間取りが分からないように
窓を設計する必要があるんですよね。

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さらに、
人目にさらされた場所で洗濯物を干すのも、
決して防犯的に良いとは言えません。

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衣類を見れば、家族構成だけじゃなく、
どんな仕事をしているのかまで、
分かってしまう可能性が高いからです。

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それゆえ、防犯面も同時に考えながら
間取りをつくっているというわけです。

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結果、玄関正面に窓のない家は、
プライバシーが担保された
居心地のいい住まいを実現すると同時に、
安心に暮らすための高い防犯性も実現し、
かつ生活感を消すことで、
より美しい景観が維持しやすくなるというわけですね。

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日々の暮らしを、より充実させるために、
窓のつくり方に配慮することが
いかに大切なことであるか、
お分かりいただけたのではないでしょうか?