vol.147 建築屋の土地を見る視点?

建築会社は
基本的に南向きの土地をそれほど良いと
思っていないのですが、
その理由は大きく分けると2つあります。 

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まず、1つ目の理由が
防犯性とプライバシー性の確保が
とっても難しいからです。

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南につくった大きな窓からは、
たくさんの光とともに、
道行く人たちの視線が入ってきてしまうからです。

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また、窓を見ただけで
部屋の配置が全て分かってしまうし、
夜になると光が灯っているかどうかで、
どこの部屋を使っているかまで
道行く人たち全員から分かっちゃいますからね。

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そんなこんなで、丸見えを防ぐために
みんな問答無用でカーテンをするわけですが、
そうなれば光が家全体に届きにくくなってしまいます。
結果、部屋が薄暗くなり
朝からずっと照明を点灯したまま暮らすことになります。

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そして同時にカーテンが開けられない窓は
窓を開けることも出来ないので、
風も常時取り込むことが出来ません。

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さらに、家を明るくしたいと思う気持ちから、
保険的な意味も込めて南以外にも大きめの窓を
たくさんつくる方もいらっしゃいますが、
この窓も、結局周りから丸見えになるとしたら
カーテンが必需品となるのでいい解決策だとは言えません。

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それどころか窓を不用意に増やしてしまうと、
コストアップとともに耐震性と断熱性が劣化してしまうので、
むしろやめたほうがいいと思います。
窓が増えれば、掃除場所も増えるし、
戸締りの心配も増えることになりますしね。

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そんなわけで、建築会社は
南向きの土地を前向きにオススメしないというわけです。

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✔︎予算と期間の問題

2つ目の理由が、土地の値段が一番割高だからです。
みんな日当たりがいい土地を狙っていますからね。
つまり、需要が供給より高いからですね。

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ゆえ、土地の価格交渉をする余地もありません。
定価どころかもっとお金を出してでも、
その土地を買いたいと思っている人が
たくさんいるわけですからね。

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結果、土地に予算を使い過ぎてしまい、
家づくりの予算を大きく圧迫してしまうのですが、
それだけにとどまらず
南向きの土地は建築代と外構代も高くつきやすいので、
さらに大幅に予算オーバーしやすくなります。

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建築代に関しては、
カーテンやシャッターといった
オプション部材に余分にお金がかかるし、
外構代に関しては、
防犯性とプライバシー性を高めるための
目隠しや植栽や塀に、
多額のお金がかかってしまうからです。

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また、需要が高いということは、
すぐ売れてしまうということでもあるので、
土地を即決しないといけません。

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となると、その土地には、
本当に自分が望む家が建つかどうかを検証出来ないまま
土地の契約をしないといけなくなります。

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かつ、早く不動産屋さんに
土地代の支払いをしないといけないので、
必然的に家の打ち合わせ期間もタイトになってしまい、
自分が建てる家に後悔しやすくなります。

そんなわけで、
個人的には南向きの土地を
前向きにすすめたくないというわけです。

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前回もお伝えしましたが、
土地の日当たりの良し悪しと
家の明るさや快適性との相関関係は、
実はそう高いわけではありません。

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なので、これから土地探しをする方は、
土地の日当たりにこだわることなく、
建築屋さんに土地を見てもらいながら、
土地選びをしてもらえたらと思います。