7vol.88 ひかげとひなたの使い方?

南に建っている家のせいで、
敷地の半分近くが日陰になってしまう
約55坪の土地に建つ家の多くが、
総2階建ての家です。

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その理由は、日陰を避けて
家を建てようとするからなのですが、
この結果、使いにくい家になってしまいます。
また、薄暗く開放感もない家になってしまいます。

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それゆえ、使いやすい家にするためには、
また明るく開放的な家にするためには、
そもそも根本から改善する必要があります。
根本とは、日陰を避けて
家を建てようとすること、ですね。

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では、この土地で家を建てる場合、
どのような間取りにすべきなのでしょうか?

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平屋という選択肢

土地の広さが55坪あれば、
平屋を建てることが出来るので、
この土地では、まずは
平屋に出来ないかを考えるべきです。

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しかし、平屋にすれば、
確実に日陰となる部分にまたがって
家を建てることになるため、
光の採り込み方を工夫しなければいけません。

では、家全体を満遍なく明るくするためには、
どのように採光を考えるべきなのでしょうか?

光の種類を知る

これを考えるにあたり、
知っておくべきというか、
棲み分けしておくべきことが、
光にも種類が2つあるということです。
「直射光」と「天空光」の2つですね。

分かりやすく言うと、
天空光とは北の窓から入ってくる光ですね。
直射光が入ってこないはずの北の窓が、
1日中安定して明るいのは、
この天空光が入ってきているからです。

そして、部屋の配置は、
この2つのどちらの光を入れたいかによって
変わってくるんですよね。

例えば、リビングダイニングは
直射光をたっぷりと採り込みたい場所ですよね?
それゆえ、南からの光がたっぷりと入る位置に
レイアウトしたいですよね。

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また、洗濯物を干すところにも、
日光がたっぷり当たるようにしたいので、
南からの光が入る位置に
レイアウトしたいですよね。

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では、この2つの場所以外に関しては
どうでしょうか?
明るくあるべきではあるものの、
かといって絶対に南からの光が必要
というわけではありませんよね?

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玄関。お風呂。トイレ。収納。
これらはもちろんのこと、
寝室だって、南からの光に
こだわる必要はありませんよね?

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そんなこんなで、
これらを踏まえて、
2つの光をうまく使い分けながら
部屋を配置していくと、
全ての部屋を満遍なく
明るくつくりやすくなるというわけですね。

もちろん、せっかくの南からの光を
殺してしまわないためには、
間取りのつくり方に工夫が必要ですけどね。

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平屋が無理な場合

そして、土地や要望の都合上、
その土地に平屋がおさまらない場合は、
2階部分をつくらざるを得ないのですが、
この場合も、出来るだけ2階部分を
小さくすべきです。

2階を広くつくっても
無駄にコストが上がるだけで、
使いやすさが上がるわけじゃないからです。

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なので、この土地で、
どうしても2階をつくらないといけないとしたら、
出来るだけ2階は小さくしてもらえたらと思います。
要するに、あくまでベースは平屋で考えるべきだ
ということですね。

もちろん、このような家の建て方をすれば、
居住性は格段に上がるものの、
確実にコストは割高になるので、
同時に、コストを抑えるためのアイデアや工夫も
必要にはなるのですが、それさえ出来れば
ありきたりの総2階建ての住まいに比べて、
遥かに使いやすく、遥かに住みやすく、
また、遥かに明るくて開放的な住まいが出来上がります。

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ですから、明るくて居住性が高い家が
手に入れられるように、この記事の内容を思い出して、
家づくりをしてもらえたらと思います。